パラノマサイトの重要人物「志岐間春恵」のモデルとなった、元ネタについて解説します。
滅茶苦茶ネタバレがあるので、クリア後の閲覧をオススメします。
元ネタは日本伝統の能「隅田川」で間違いない
ゲーム本編のバッドエンド「エンディング#3志岐間春恵の伝説」の最後に、櫂利飛太が「隅田川で子を失った母が塚に祈りをささげた結果、蘇った」という伝説があると言っていました。
これは、能「隅田川」の内容と似ています。ただ、元ネタのほうには、救いはありません。
隅田川のストーリー
古文のため、そのままだと読みとくのが難しいと思います。概略だけまとめると、以下のような内容です。
【隅田川】
京都の貴族の子と、その母のお話。
当時は、人さらいに子供が拉致されていくというのは普通のことで、とある貴族の女は、失踪した息子を探していました。
息子を探し続けて、女は最終的には、隅田川まで行ってしまうのです。京都から東京までなので、とてつもない距離を捜しまわっていたことが分かります。
そこで出会った船頭に事情を話すと、「一年前のちょうど今日、人さらいに子が捨てられ、亡くなった」ということを聞くことに。
話を聞いていくうちに、女は、その亡くなった子がわが子であることを確信。
そこで船頭は、悲しみに暮れるその女を、その子が眠っているという塚の前まで運びます。
女のことを哀れに思った船頭は、女と一緒に塚で念仏を唱えると、子の姿が現れたではありませんか。
女はわが子を抱きしめようとしますが、その子は両手をすり抜けます。
女の目線の先にあったのは、ただ草の生い茂った塚でした。
そう、その姿は、息子梅若丸の幻だったのです。とうとう、女は息子に会うことはかないませんでした……。
志岐間春恵ルートとの類似点
・春恵の息子「修一」は、攫われたあと殺害されている
・春恵は息子をよみがえらせるために、秘術を求めて回る
・隅田川で船頭が塚に案内する様子が、利飛太が真実へ導く姿と似ている
・「最終手段」で灯野あやめに「自己紹介」をする際、「ちょうど去年そんなことがありましたね」と言っている内容が、隅田川の内容と同じ
もうひとつの根拠「櫂利飛太」の名前に隠された意味
さて、春恵のパートナーの名前というか名字を覚えている人はいますでしょうか?
「櫂」ですね。
実は「櫂」というのは、船を漕ぐための道具なんです。
つまり、探偵の利飛太は「船頭」をイメージして作られ、春恵を導く存在として用意されたキャラクターであると推測できます。
春恵の呪詛珠が「送り拍子木」なのにも理由がある
では、なぜ春恵の呪詛は「送り拍子木」だったのでしょうか?送り拍子木がどこで手に入るか考えれば答えが見えます。
「撞木橋」ですね。
「撞木」というのは、日本の和船で「櫂」の軸となるT字の棒のことです。つまり、これも船にかかわる道具。
以上のことより、ストーリーに絡む人さらいや息子、船に関することが多様に用いられていることが、「隅田川」をモチーフにしているという根拠です。
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